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2017年05月22日

GEF×CPRI×JACSES共催セミナー「地域・CO-OPと持続可能な経済・社会・環境の構築~地域・消費者・生産者の現場の取組と国連のイニシアティブ=SDGsを繋げるために~」を3月23日に開催

Ⅰ.背景・目標・開催概要

2016年1月1日、国連持続可能な開発目標(SDGs)の実施がスタートした。これを受け、日本政府は安倍首相をトップとするSDGs推進本部を設置し、2016年12月にSDGs実施指針を策定した。

SDGsは、経済・社会・環境を持続可能なものとしていく具体的な行動目標を設定しているが、これまで各地域・消費者・生産者等は、自らの現場で取組を進めてきた。また、日本の地域経済低迷・過疎化等を受け、日本政府は地方創生を掲げ、自治体の取組支援を行っている。地域におけるSDGsの取組は、政府・自治体のこうした動きと効果的に連動することが要請される。

地域や消費者・生産者等の現場の取組とSDGs取組は、もし効果的な連動ができれば、現場の取組をさらに活性化・支援しつつ、グローバルなSDGsゴール達成に大きく貢献できる可能性もある。

こうした中で、全国各地で消費者(組合員)と生産者が流通も含め連携する生協を含む協同組合のこれまでの取組は、効果的な取組モデルの一つとなる可能性も秘め、他セクターの取組推進の参考になると考えられる。

そこで、以下の目的のために、本セミナーを開催した。

  • 協同組合の全体像・これまでの取組の到達点を明確化し、他の事業者とも対比しつつ、持続可能な経済・社会・環境の構築に向けたその潜在力・可能性と課題を検討する。
  • 日本政府の地方創生・SDGs政策や自治体・地域のSDGs取組に関する最新動向を共有し、今後の地域の取組の有り様について検討する。

加藤好一生活クラブ生協連合会会長/市民セクター政策機構(CPRI)理事長、藤原豊内閣府地方創生推進事務局審議官を含む各界のキーパーソンを招聘し、計51名の参加を得た。

Ⅱ.日時

3月23日(木)
第1部:16:00~18:20
第2部:18:40~21:00

Ⅲ.場所

エムワイ貸会議室お茶の水 Room A
http://meijiyasuda-life-hall.com/kashikaigishitsu-ochanomizu/access.html

Ⅳ.対象

市民・協同組合関係者・事業者・NGO・政策担当者・メディア等

Ⅴ.主催・協力

  • 主催
    市民セクター政策機構・グリーンエコノミーフォーラム(GEF)・「環境・持続社会」研究センター(JACSES)
  • 協力
    SDGs市民社会ネットワーク・株式会社クレアン・環境パートナーシップ会議・日本NPOセンター・CSOネットワーク

Ⅵ.プログラム<以下、敬称略>

<第1部>CO-OPと持続可能な経済・社会・環境

1.報告
「協同組合の今日的役割と課題 地域の取組みと国連のイニシアティブをつなげるために」
栗本昭(生協総合研究所理事/法政大学教授)

「生活クラブのサステナビリティに関わる取組み― 現状報告を中心に ―」
加藤好一(生活クラブ生協連合会会長/市民セクター政策機構理事長)

「SDGsへ求められるアクション」
薗田綾子(株式会社クレアン代表取締役社長)

「エシカル消費の可能性」
宮木由貴子(株式会社第一生命経済研究所主席研究員/一般社団法人日本ヒーブ協議会代表理事)

2.質疑応答・意見交換

  • 司会
    白井和宏(市民セクター政策機構専務理事)・足立治郎(「環境・持続社会」研究センター事務局長)
  • パネリスト
    講演者・古沢広祐(國學院大学教授)
  • 論点
    持続可能な経済・社会・環境に向けて、協同組合のいかなる取組が必要か 等
★各講演及び質疑応答・意見交換の要旨
  • SDGs達成に向けて、世界的に協同組合への関心が高まっている。
  • 協同組合の今日的役割は、「雇用の創出と貧困の削減」、「不利な人々の労働統合」、「医療・福祉・教育サービスの提供」、「食料、エネルギーの安定供給」、「地域のくらしと生産のための資金循環」。
  • 地域の取組が、SDGsに繋がっているのだと訴えていくことが大事。
  • SDGsやパリ協定等をふまえた生活クラブの2030年までの環境目標を今後設定。
  • FEC自給ネットワークを運動方針の基本に置き取組を展開。山形県遊佐町では、食料自給、自然エネルギー自給の取組に積極的に着手。
  • 薗田綾子氏「SDGsへ求められるアクション」
  • 巨大な会員数を抱える消費者団体として、生協全体で、既存の取組の中から具体的にSDGsに対するリスクと機会を洗い出し、ターゲットを設定し、会員の啓発とアクションに繋げていくと、世界のモデルになるのではないかと期待。
  • 社会にもたらし得るインパクトを意識した消費行動が「エシカル消費」。自身の消費がバリューチェーンに与える影響に関心を持つこと自体に意義がある。具体的な行動としては、SDGs等に落とし込んでいくことが効果的。
  • 世界のベスト・プラクティスを学びながら、世界に自分達の経験を示していくという点で、日本の生協は多くの強みを持っている。日本が独自に積み重ねてきた優れた部分を、国内外共に発信し、シェアしていくことが重要。
  • 日本企業は、財務部分である本業に、非財務分野として取り組んでいるSDGs推進を統合する動きが今始まっている段階。本業に直接SDGsを組み込んでいく段階はまだこれから。生協だからこそできることでSDGs達成を率先してほしい。
  • SDGsは基本的に消費が活性化していないと実現できない。企業の利益と消費者の満足を両立させることが重要。「エシカル消費」は抽象的なので、より具体的なSDGsを活用し、結果的にエシカルになると良い。
  • 協同組合はあらゆる分野に広がっており、SDGsの全てに対応可能な組織。SDGsは今まさしく日本が直面している問題。企業等とも連携を強め、協同組合が正面から取り組むことを期待。

<第2部>地域とSDGs

1.報告

「SDGsと地域・ビジネス~北海道二海郡八雲町の事例を通じて~」
田瀬和夫(デロイトトーマツコンサルティング合同会社CSR・SDGs推進室長・執行役員)

「日本国内の市民活動団体を中心としたSDGsの取り組みとSDGsの実施指針について」
新田英理子(日本NPOセンター事務局長)

「「国家戦略特区」について~オンリーワンの地方創生を目指して~」
藤原豊(内閣府地方創生推進事務局審議官)

2.質疑応答・意見交換

  • 司会
    古沢広祐(國學院大学教授)・足立治郎(「環境・持続社会」研究センター事務局長)
  • パネリスト
    講演者
  • 論点
    今後の地方創生・地域のSDGs取組活性化の方策のあり方 等
★各講演及び質疑応答・意見交換の要旨
  • ESGの考え方と、その先にあるSDGsの実現を見据えて戦略を立てる。地域におけるSDGs推進は、ヒト・モノ・市場の持続可能性の複合的要素を考慮する必要があり、あらゆるステークホルダーとの協業が不可欠。
  • 既存事業にSDGsをマッピングし、最も関連する目標が特定された後は、さらに他の目標に波及する仕掛けと、その仕掛けを支えるガバナンスを考えることが、持続可能な地方づくり。
  • 多様な主体との協働による地域課題に対する取組は全国各地で既に多くの事例があるが、SDGsに読み替えられてはいない。中間支援組織との連携により、SDGsへの理解を深め、紐付けし、さらに発展させていくことが重要。
  • 地方創生において、地域住民との繋がりが強い自治体首長の存在は大きい。基礎自治体である市町村の首長が、リスクを取ってでも新しいものに挑戦できるか。
  • 内閣府地方創生推進事務局では、規制改革提案を随時受付中。
  • 日本国内に多数既存する地方創生施策を含めた取組に対して、SDGsは、各地方が目指したいものを実現するための、ビジョンを共有するコミュニケーション・ツールとして有用。
  • 地方での取組を円滑に推進するためには、都道府県レベルの自治体、中央省庁、ひいては議員の理解が必要。地域単位での既存の取組に改めて注目し、国が後押しし、世界にアピールできれば。
  • 「SDGs」という言葉の認識が広まるに伴い、政府、自治体、企業、NGO等で、今までの取組がどんどんとSDGsの文脈に塗り替えられがち。SDGsは世界課題を網羅した完璧なものではないという認識も必要。

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